恋の天使は悪戯者。
こんな素敵な出会いを遅刻ギリギリの時に運んでこなくてもいいのに!
でも、遅刻ギリギリだったから、良かったのかな?
「このままじゃ遅刻しちゃう!」 半泣きでアリスは細い路地裏を猛烈な勢いで走り抜けていた。 この路地裏は少々道は悪いもののかなりの時間短縮に繋がる抜け道だ。 (マジやばい時はついつい使っちゃうんだよね!) 悪戯っ子のようにペロっと舌をだし猫を飛び越え薄暗い道を抜けると少し大きな通りにそのまま飛び出す。 眩しさに一瞬眩んだ視界の端に映ったのは、こちらに向かって疾走するバイクだった。 「!!!!」 轢かれる…! 悲鳴も出せず足を絡ませスッ転んだアリスの脇ギリギリをバイクはタイヤを鳴らしながら芸術的な弧を描いて停車した。 バイクの乗り手はかなりの腕の持ち主のようだ。 もしも運転の下手な乗り手ならばアリスは間違いなく轢かれていただろう。 (…生きてる!?私) 生きた心地もせず声も出せないまましゃがみ込んでいるアリスの方へバイクの主が慌てた様子で駆け寄った。 「大丈夫!?ケガはなかった?」 見上げたアリスの視界に入ったのは… |
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