何時までも想っている。
だからこれからも
俺はこの街でひとりで生きていける。

 ヒューは激しく後悔していた。

 酒奢るからちょっと相談に付き合ってくれと言われ、連れて行かれたのはコンビニ。
 何が悲しくて宵の口に缶ビールを片手に公園のベンチで男と男二人で座っているのだろう。
 ちらりと横を見ると当の相手は程よく酔いが回って来ているのか絶好調で演説を繰り広げている。

「確かに彼女といる時間が一番大事!だけど〜こう、…特別な日には何かちょっとしたものをあげたいじゃないスか」
「まあ、確かにそうですけど…、何でそれを俺に相談するんですか。」

 俺じゃ不相応だろう…口には出さず、ヒューはロミ夫を見やった。

「だって君モテそうじゃん?可憐な女性が喜びそうなプレゼントとかさぁ、いろいろ詳しいんじゃないかって。」

 ロミ夫のその言葉があまりに予想外だったのか、ヒューは最初は目を丸くしその後ひとしきり大笑いした。

「いや、俺もてないですよ。今は彼女もいないし…ロミ夫さんのがモテると思います。」
「…は?」

 その言葉に今度はロミ夫が目を丸くし、そしてその後僅かに眉根を顰めた。
 こいつはモテる自覚がない天然か、モテないように無意識に振舞ってるかどっちかだな…ロミ夫は内心そう思いつつ、どっちにしろタチが悪い、と小さな声でボソっと呟く。
 ヒューはそれには気がつかなかったのか、少し据わった目でアドバイスを言う。

「じゃあ早速アドバイスさせてもらいますけど、俺なんかと酒飲んでるくらいなら彼女と一緒にいてあげたらどうですか?夜遅くまで出歩いてたら彼女心配しますよ。」
「大丈夫、ちゃんと言ってきてあるし、お前だって遅くなるってちゃんとご家族に言ってあるんだろ?」
「俺はいちいちそんな事言わないですよ。家には妹がいるだけだしアイツもそんな事気にしないんで。」
「…お前な、そんな愛する人を粗末に扱っちゃイカンよ!」


 今すぐ電話して言うんだ!というロミ夫の剣幕にしぶしぶ自宅へ電話をしながらヒューは苦笑した。

「ロミ夫さんは凄いですね。俺には…そんなに他人を想う事は無理です。」
「なんでだ?」
「だって、失った時辛いじゃないですか。」
「失うって、お前なあ…なに臆病になってるんだ!そこは男が守るんだよ!ギュっと!身も心もさ!」

 ウットリとした表情で自分自身を抱きしめるロミ夫を苦笑交じりで見つめながらヒューは今し方飲み干したビールの缶を潰し遠くのゴミ箱へと放り投げた。

「― 俺は、どっちも守れなかったんで…。」

ガコン、と音を立ててゴミ箱へ吸い込まれた空き缶を見つめる端整な横顔に表情は無かった。

「…。」

マズい事言っちまった…ロミ夫が顔を引きつらせたのは、1秒。
その後、即ヒューの肩を強く叩くと親指を立てウインクを送る。

「よし!今日はどうせボクの奢りだ!もっと飲め!」
「奢りって…6本目からは俺の自腹ですよ。」

既に何本目かも分からないビールを開けながらヒューはぼやいた。

「おまっ…何本飲んでるんだよ…!」
「そんな事より、彼女の事いろいろ聞かせてくださいよ。ロミ夫さんの大切な人なんだから、素敵な人なんでしょ?」

 …ヒューはこのセリフを言った事を後悔する事になる。
 この後、夜明けまで彼女の魅力を語られつづけ仕舞には酔いつぶれたロミ夫をその彼女の元まで送った後、眠い目をこすりながら仕事をする羽目になるのをまだヒューは知らない。

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リクでロミ夫&ヒューです。ツリ目タレ目コンビですね!
小話が無駄に長くてスミマセン。ロミ夫の性格はこんなんでよかったんだろうか(爆)一人称は歌詞に合わせてみました。
ちなみに上で兄さんは「他人を想う事は俺には無理」と言っていますがそんな事はないです。
深入りを避けていても、知らない間に大切な人はいっぱい出来ているといったカンジです(妄想)
しかし、いつぞやはヒューは飲兵衛ではない、と言っていましたが上の小話では完全に飲兵衛で酒豪ですね〜。
文中で兄さん目が据わっている、とありますが、酔いの所為で据わっているのではなく不機嫌な所為で据わっているのです(笑)

04/09/28


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