綺麗な朝日と、広がる青い海が一望できる切立った崖の上。
単車で来ると最高の場所だと親方がこっそり教えてくれた場所、そして彼女と初めて出逢った場所だった。
何時も二人で並んで静かに見守った日の出を、今は独りで見てる。

 絶望の淵があるとしたら、それはあの時だろう。
 でも死のうなんて気持ちは微塵も無かった。
 俺にはまだしなきゃならない事があったから。

 でも気が付けば冷たい海の中、動かない手足に死を覚悟した。

 俺を海の底に導いたのは寂しい唄、孤独な者を引き寄せる、孤独なモノの唄。
 …目の前に現れた唄い主は本当に伝説の人魚の様だった。

ごめんなさい、ごめんなさい…

 頭に直接響く言葉はただただ謝るばかりで…。
 どうして謝るの?と口を開いても、小さな泡がゆらゆらと上っていくだけだった。

貴方の心、私と同じ寂しい心…仲間だと思って呼んでみたけど、違ったね…

 そう言う彼女の瞳は悲しそうで、海の中なのに涙がぽろぽろと零れ落ちている様に見えた。

さあ、目を開いて、貴方にもきっと新しい出会いが待っているから、私の唄が導くから…

― それは新しい出会いへ導く唄。


 あの後、いろんな事、いろんな出会いがあった。
 とりあえず目を覚ました病室で親方に一発ぶん殴られた(その後抱き締められた。)
 数ヶ月後に突然妹がやって来て俺の借家に無理やり住み込むようになった。
 職場に変な二人組が居着くようになって整備場が賑やかになった。
 それから沢山の出会いがあって、友達と呼べる存在も沢山出来て。
 正直もう二度と思いっきり笑う事なんて出来ないと思っていたけど…
 今はちゃんと目を開いて、前を向いて進んでいける。

 だから、きっと、彼女も今はあの海の底で仲間達と笑って過ごしているだろう。
 俺と同じ様に。


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テトラ&ヒューです。久々に散文的なカンジです。
二人は切ない系なイメージがあります!
というわけでこんなカンジの文章に(文章になってませんが)
夢見すぎでスミマセン(爆)

04/11/03


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