空が僅かに明るくなり始めた頃、漸く俺は自宅のドアを開ける事が出来た。 明日…というより今日の仕事へは少し仮眠をとってから行く事にしよう。 数少ない休息の一つである睡眠をあまり取る事が出来ないという事実に俺は大きく溜息をついて視線を廊下の壁面へと移した。 廊下の壁面…コルクボードに貼られた写真の一つを見つめる。 それは四隅のうち2箇所が大きく千切れ年数の割には随分と煤けて見える。 時折この写真を見返さなければあれは夢かまぼろしだったんじゃないかと自分でも思う。 写真に写っているのは俺と…青い髪とアイスブルーの瞳以外は俺と寸分違わぬ容姿を持つ青年。 ゆっくりと写真の内のもう一人の自分に指を重ねる。 「なあ…でも俺達はあの時、確かに一緒にいたんだよな…?」 俺の問い掛けは廊下に小さく響くだけで何処からも答えは帰ってこなかった。 →6 |
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